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『フライングハロウィン』 後篇

2009年10月31日 00:29

現在樂識さんからの頂きものSS、今回は後篇になります。
器物化色の強かった前篇とはまた少し違う趣向になっているので
タグ見てなんとなくそそられた方はぜひどうぞ。

前篇あらすじ
・ハロウィンのひと月前に現れてお菓子をねだる、謎の少女。
・愚者の能力を借りた「いたずら」により、被害者が続出。
・少女の悲しい過去が明らかになり、ひと段落…と思いきや?

   ×   ×   ×

それから一ヵ月後、 町はハロウィン一色に染まっていました。
 町中にかぼちゃのランタンが飾られ、子供達が仮装して家々を回っているなか、

 一人の美女が、美しい真紅のドレス姿で町を歩いていました。

「ふふ、今日のパレードが楽しみね」

 この町では毎年、ハロウィンに仮装した子供達と一部の大人たちがパレードを行い、彼女はその主役として山車の上に載ることが決まっていた。

 その事もあるのか、町中の男たちの視線が美女に集まっていて、美女自身も満足そうにして、自分の家に戻っていく。

『こんばんわ、お嬢さん』

 家の前に、見慣れぬ男が立っていた。

 仮面にコート姿の怪しい男は、にこっと笑いかける。

「どなたかしら?」

『旅のものですよ、ちょっと今夜のパレードの主役がいると聞いたので』

 この男も、自分の虜になった男だと、美女は判断し、愛想よく笑う。

「ええ、今夜はハロウィン、盛大な祭りを成功させるために私も頑張りたいわ」

『本当に美しいですね』

 金色の長髪に、豊満な胸と御尻、細い腰、整った顔に美しい肌。

 まさに美女と呼ぶにふさわしい容姿の美女を褒め称えるように、仮面の男は口にした。

「あら、ありがとう」

 そう言って、美女は家の中に姿を消した。

『さて、アレが、10年前にウソをついた張本人か……』

 美女の家を背にし、愚者は邪悪な笑みを浮かべ姿を消した。


 日も沈み、夜の闇にかぼちゃのランタンの灯りがともって幻想的な雰囲気をだす中、

 パレードが始まった。

 子供達が行進し、ところどころに山車がとおり沿道にいる人々の目を楽しませている。

 そして、最大の目玉、巨大なかぼちゃとランタンの山車の上で、真紅のドレスを着た美女が舞い踊る。

 住民達はみながその美女の舞に見とれ、その美しさに引かれていた。

「ふふ、みーんな私の虜ね」

 そうつぶやきながら舞続ける美女の目に、おかしなものが映った。

 山車の進路上に、一人の少女が立っていた。

 でも、誰一人気がつかず、その少女はパレードに溶け込んでいた。

(なに? あの子、危ないじゃないの?)

 そう思っても、止めるわけにはいかず、舞い続けていると、いつの間にか、その少女は、山車の上にいた。

「!! 何?」

 踊りをやめ、その正体不明の存在に、驚いた。

『こんばんわ、お嬢さん』

 ふわっと、闇をまるでカーテンのように横に引き、仮面の男が……愚者が現われた。

「な、何?あんた何者?!」

『俺は愚者……あ、残念ながら助けを呼んでも無駄さ、みんな……夢の中にいるんだから』

 周囲を見渡すと、誰一人、この乱入者の存在にも……美女の踊りが止まったことにも気がついていない。

「な、ナンなのよ、あんた、一体何がしたいの?!」

 祭りに何も異常が発生していない、それ自体が、異常なことに、美女は恐怖をひしひしと感じ始めた。

 ダメダ、逃げろ、この男は……

 人間じゃない!?

『別に、この子をだました君に天罰を与えようかとね』

 そう言って、指を弾く愚者。

 愚者の隣に人の形をしたものが現われる。

「この子をだました? 何言ってるのよ?」

 気丈に振る舞い、強気に出るが、その人の形をしたものの正体が段々と明らかになってきて、美女の顔がひきつる。

 薄い、ガラス……いや、鏡だ。

 その鏡には、美女の裸体が映し出されている。

『さて、天罰……というより、あえてここはこの祭りに合わせようか』

 そう言って、美女に対峙し、

『Chaos or despair』

 混沌か、絶望か

 お菓子かイタズラか、などという生ぬるいものではない。

 お菓子を上げれば去っていくウィルオーウィプスなど、比べ物にならない。

 どっちを選んでも、無事にはすまないということになる。

「いや……やだ……いやだ……」

『どっちにしろ、あんたには、生き地獄味わってもらおうか』

 そう言って、愚者は鏡の中に手を突っ込む。

 鏡の中の虚像の腰の部分を掴むと……そのまま、腰を引っこ抜いた。

 30センチほどだろうか、虚像は達磨落としのように、ストンと身長が縮んだ。

 ソレと同時に美女はまるで落下するかのような重力を感じ、めまいがする。

「うう、な、なに?」

 視線が、下がった。

『さて、コレはどうしようかなぁ』

 鏡の中の手は、女性の腰をお手玉にして、そのまま握りつぶし、光の玉にした。

「何を……したの?」

『奪ったんだよ、お前から身長を』

 そう言って、さらに今度は太腿と脹脛を掴み、それぞれ、15センチずつだろうか、引っこ抜き、腕も同じく引っこ抜いた。

 ストン、ストン、と虚像が縮みと同時に美女の視線がさらに下がり、合計60センチほど、背が縮んで、まるで子供のような身長になってしまった。

「う、奪う? か、帰してよ、かえしてぇ!! 私の身長!!!」

 さらに身長を引っこ抜かれ、170センチはあった長身は今では半分以下になってしまった。

 ところどころのパーツが抜け落ちた歪な虚像を、粘土細工のように滑らかに整え、美女の体はきちんとした人型になってしまう。

『じゃー次は……あんたの美しいスタイル奪おうか』

 そう言って、愚者は、虚像のおなかの部分に手を入れ、かき混ぜだす。

「や、やめ、お、おなかさわらな……」

 美女はおなかを押さえて苦しみだす。

『えーっと、どこ? ん~と』
 
 そして何かを抜き出した。 

 ソレは、ふわふわした光の玉のようなものだ。

「な、何!? それ何!?」

『君の魂の一部さ』

 そう言って、愚者は、ソレをランタンに入れた。

『ほら、鏡を見てみなよ』

 美女の体が変異していく。

 背こそなくなってしまっても、残っていたスタイルが、少しずつ、ゆるく、なだらかになっていく。

 胸は引っ込んでいき、ウエストは太くなり、お尻も小さくなっていく。

 ストンと着ていたドレスが脱げ、美女は、その貧相な、いや、凹凸が少ない管のようなみっともない体をさらしてしまう。

「あ、あぁぁぁぁ……」

 あまりにもありえないこと続きで、美女は目を見開いて鏡にすがるように近づく。

『さて、どーしようかなぁ』

 そう言って、楽しそうに考える愚者。

 一瞬、ほんの一瞬、注意がそれたと思ったのか、美女は愚者に襲い掛かった。

『!!!!?? チィ』

 愚者は避ける動作こそするが、コートに腕ごと噛みつかれ、手の甲を引っかかれる。

『へぇ、ここで俺に噛み付いてくるとは、いいどきょうだなぁ』

 愚者は、噛み付かれた右腕から、美女を引っぺがし、放り投げる。

「も、戻して!!、もどせぇぇぇぇぇ!!!」

 わめき散らす美女、しかし、パチンという指の音とともに、周囲から声が、いや、音が消えた。

 わけもわからず、のどを押さえ、口を金魚のように動かす美女。

『さて、いってぇな……容赦はいらねぇみたいだな、まぁ、もっともとねぇけどなぁ!!!』

 満月を背に、黒衣の愚者は、満面の笑みを浮かべ、両手のそれぞれの指の先に、光の玉を灯しだす。

 その10もの玉は美女へと飛び、そして一つ美女の体内へと入っていく。

 入っていった光の玉は女性の顔に上っていき、一気に輝きだした。

 口を開け、何か叫んでいるのだろうか、美女はのたうちまわるが、その口からは声が出ず、

 輝く顔に、変化が訪れる。

 鼻が、高くなっていく。

 まるで、前に引っ張るように、鉤鼻へとなり、さらにさらに鼻が伸びていく。

 それに伴い、鼻自体の横幅が増していき、頬骨と鼻が融合し、顔いっぱいに鼻が広がり、美女の短くなった手では鼻の先端に手が届かない。

 その鼻に、ブツブツと吹き出物がいくつも出来上がり、ソレが破れ、さらにそこから、新しい吹き出物が出来上がっていく。

 その鼻を押さえ、嘆く美女にさらに2つの玉が入り込み、今度は口と御尻が光りだす。

 口が亀裂が入ったかのように広がり、口の中で歯が秩序を無視したかのように変形していく。

 斜めを向いて伸びだす歯、長さが極端に長すぎる歯、歯と歯が前後に交差し、歯茎が黒ずみ、歯自体も虫歯などが大量に出来上がっていく。

 さらに、御尻がどんどん肥大化し、バランスを崩して、しりもちをついてしまうと、足が地面から離れ、起き上がれなくなってしまった。

『さて、ここで声でも聞いてみるか』

 パチンと指を弾くと、

「ひゃるれぎゃ!!!」

『何言ってるかもうわかんねぇなぁ』

 そう言って笑う愚者、すでに美女の御尻は本人の体よりも大きく、無様に股を開いてしまい、さらには鼻の穴も見せてしまう。

 そこに残りの玉のうちの3つが、体の中に入り込んでいく。

 すると、美女の全身から、軋むような音と共に、美女が苦しみだす。

 眼に見えて、全身が太くなっていく。

 しかし、ソレは……全身の骨がどんどん太くなっていく。

 皮膚がひきつり、骨の形が皮膚を通して分かってしまう。

 まるで、図太すぎる骸骨にうっすらと皮膚を貼り付けたかのような、そんな容姿へと変貌していく。

 わずかに体を動かすだけで、ゴキゴキと関節がなり、美女の体は痛みを訴えかける。

『はは、痛風かな? たいへんだなぁ』

「はぎゃぁぁぁぁあ、じだぁあぁっぁぁぁぁぁい!!!!!」

 さらに今度は両手が輝き、指がそれぞれ3倍近く膨れ上がり、指先は尖っていく。

 そして、全身の毛穴という毛穴からドロドロとした体液を滲み出し、

 茶色の体液から悪臭が発生し、ボタボタと滴り落ちていく。

『さて、メンドクサイからトドメにいっちゃおう、ソロソロ祭りも終焉だ』

 周囲を見渡すと、山車が終点へ差し掛かっていた。

 残りの4つの玉が一気に美女の体内へと飲み込まれ、

 全身が一気にまばゆい光を放つ。

 美女の全身から、まるでエネルギーを吸い取るかのように、老化現象が始まった。

 皮膚が次々に弛み、髪の毛は金色から錆びついた色へと変色し、肌からはシミが次々に浮かび、メタボ体型に変形していく。

 体内で内臓が肥大化しているのか、おなかのふくらみ方が異常でぼってりしていく。

 美女は……いや、美女だったものは、声にならない叫び声を上げ、苦しんでいく。

 その眼が、眼球が肥大化し、草食動物のように、広い視野を確保したのか、周囲を見渡すように巨大な眼をせわしなく動かしていく。

『……満足したかい?』

 愚者は隣にいる少女に笑いかけ、ポンと、頭をなでてあげる。

『残念だけど、よみがえらせて上げることはできないから、おとなしく成仏することを俺は進めておくよ』

 少女は、黒いコートの端を握り、寂しそうにしている。

 パチンと指を弾くと、美女だった者のドレスがボロボロに朽ち、色あせた状態になり、ベトベトの化物の体に巻きついていく。

 美女だった化物の顔が、まるで液体のように半分崩れ、愚者の顔から表情というものが消えた。

『…………』

 愚者は、無言で少女と共に闇をカーテンのようにつかみ、そして、闇の中へと消えていった。

 ソレと同時に、祭りの観客達は悲鳴を上げる。
 
 山車の上に現われた化物に全員が眼を疑い、そして蜘蛛の子を散らすように逃げていく。



 教会の中のシスターの寝室で、シスターは眠ろうとベットに腰掛、髪の毛をとかしていた。

『こんばんわ、お嬢さん』

 空間を引き裂くように、愚者は少女を連れて、現われた。

「!!!! あ、貴方は……」

『驚かしてすまないね。報告がてら、少々はなしをしないか?』

 じーっと少女は、シスターを見ている。

『まあ、この子にウソついた女は、地獄を見てもらったよ』

「……貴方は……何者なんですか?」

 シスターは恐る恐る尋ねる。

『安心しろ、俺は別に聖書に出てくる悪魔とかじゃねぇ、でも……』

 部屋にある十字架を見て、愚者は舌打ちする。

『あんたが信じている神様もねえがな』

「……神を信じないんですが?」

 己に、敵意を持ってないからか、シスターは少々怯えながらも、寂しさに似たものを感じる愚者に懸命に声をかける。

『ああ、悪いが神は俺には何もしてくれねぇからな……』

 そう言って緊迫した空気を払拭するかのように愚者は笑う。

『さて、本題に入ろう』

 愚者はパチンと指を鳴らす。

「え?」

 シスターの体に変異が起きる。

『まあ、奪ったものをあんたに押し付けようと思ってな、それと小さな罰だ』

 シスターの胸と御尻がどんどんふくらみ、足が長くなっていく。

「え? え? ええ~~~~!!」

 ほんの数秒で、シスターの体は色気タップリの体へと変貌していく。

 ただ、股間に違和感を感じ、触れてみると、そこに、今まで無いものが存在していた。

『いったろ? 小さな罰だと』

 そこには、男性器が……しっかりと竿と玉がシスターの体についていた。

 顔を真っ青にし、シスターは慌てる。

「な、なんで? こ、こんなの、ど、どうすれば?」

『さーな? まあ、神や天使に近づいたんだ、よかったな』

 そう言って、愚者は少女を連れて姿を消した。

 残されたシスターは、過剰な色気……頭よりハルカに大きい胸と御尻、ウエストよりも太い太腿、そして、立派な男性器と残った女性器に、困惑し、

 ただただ湧き上がる性欲と戦うハメになった。


 その教会の上空、何も無いところを足場にするかの様に愚者は立ち、少女に笑いかける。

『ほら、もういきな』

 ランタンを持たせ、愚者と同じようなコートを着させて、少女を送り出す愚者。

『安心しろよ、俺は神なんて嫌いだけど、あの世はまだ、この世でさまようよりきっといいところだとは思う』

 名残惜しそうに愚者をみる少女。

「……一緒にいたら、ダメなの?」

『やめとけやめとけ、見てただろ? 俺は優しくも、いい人でもねえ、ただの異常者だ』

 ヒラヒラと手を振り、道化のように笑う愚者。

『だから、さっさと逝けよ、そーすれば優しい天使が案内してくれるだろ』

 それでも、なかなか逝こうとしない少女。

「一緒に行く……」

『…………』

 愚者は、何も言わず、コートの中に少女を入れた。

『しかたねぇなぁ、まあ、たまには旅の道連れにはちょうどいいか』

 そして、少女と愚者はこの世界から、姿を消した。

   ×   ×   ×

というわけで、またしても大ボリュームでお届けしました。
愚者の本領発揮、カオス全開の金髪美女TFもさることながら、
さらっと生やされちゃったシスターが素敵ですなあw

そして勘の良い方はお気づきかもしれませんが、
ここ数週間、greenbackにはお絵かき環境がありません。
せっかくの頂き物にイラストが添えられないのは残念、というか
100%人の褌で相撲をとってしまって心苦しい限りですが
ご容赦いただけると幸いです。


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コメント

  1. 獣人化が好きな人 | URL | MUGHK.Z2

    Re: 『フライングハロウィン』 後篇

    今年のカワハロの様子、車の上で踊ってる映像はユーチューブで毎年誰かがアップしてますので、そちらを参考(何の?)にしてください

    http://www1.axfc.net/uploader/S/so/S_60863.lzh
    自分が撮ったへぼい写真、目玉がお気に入りw

    http://bakefeti.sakura.ne.jp/joyful.cgi?list=pickup&num=45#45
    うまい写真、峠のTaisaiネタがこんな所で見れるとは思わなかったw

  2. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『フライングハロウィン』 後篇

    >獣人化が好きな人さん
    素敵な写真をありがとうございました。
    こうやって実際に現場に足を運べる(そして写真まで撮れる)行動力が羨ましいです。
    俺も養豚場の見学とか行きたいなあw
    Taisaiのお姉さんはたしかに素敵ですね。
    どこから視界を確保してるんだろう。

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