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もりのくまさん:後編

2012年05月06日 18:48

へんなかがみで扱うのは何気に初めてですが、TF対象としてのクマってけっこう好きな部類に入ります。
きっかけはたしか、小学校の図書館で読んだギリシャ神話の絵本。
カリストの変身がばっちりシーケンスで描かれてて、たいへん美味しかったのを覚えています。

そんなこんなで後篇。
前編未読の方はこちらからどうぞ。

   ×   ×   ×

でも、それがいけなかった。

次の瞬間、両肩に途方もない衝撃が走って――彼女は地面に叩きつけられる。
途方もない体重が背中にのしかかってくるのが分かる。
耳のすぐ後ろに、なま暖かい吐息がかかる。
追いつかれた。
振り向いて確認するまでもない。
もうだめだ――彼女はぎゅっと目を閉じて、祈った。
せめて最期の瞬間の苦痛が少しでも小さなものであってくれますように――!
その時。

――……ィマ。

どこかで声がした。
本当にかすかで儚くて、でも確実にどこか……ひどく近くでたしかに聞こえた、優しく暖かい声。

――タ……マ……タダイ……マ。
「えっ?」

どくん、と心臓の音がひどく大きく響いた。
そこから送り出される血液が、やけに熱く感じた。
それが身体を巡り、満たし、燃え上がるような熱が全身の毛細血管に広がっていく。
状況を整理しきれない頭に。
こわばったままの手に。
転んだときにすりむいた足に。
攻撃を受けたばかりの肩に。
そして身体の奥の奥、やわらかく湿った彼女の子宮が、膣が、陰核が、焼けつくようにひりひりと疼き出す。
息が上がる。
汗が、愛液が、あらゆる分泌液がじわりとにじむ。
それらはみるみる勢いを増して溢れ出し、滴り、森の土へと染み込んでいく。
骨がきしむ。
肉が蠢く。
苦しい。
辛い。
ハヤク、早く、早く早くハヤク――キテ。

「!?」

自分の思考に入り込んできたその声に、彼女は愕然とする。
早くって何?
キテって?

その問いに対する解答は、この上なく具体的な形でその直後に示されることになる。
ずん、という衝撃が彼女の身体を走る。
鈍い痛みと妙な懐かしさ、そして訪れた圧倒的な快感が、アオアシラのペニスに貫かれたことによるものだと気付くまでどのくらいかかっただろう。
熊獣に自分が犯されているという事態があまりにも荒唐無稽で、頭の処理が追いつかない。
追いつかないでいるうちに、大量の脳内麻薬が溢れだしてきて、思考がますます困難になる。
気持ち……良い。
下半身だって確かに装備を身につけていたはずなのに、脱いでなんかいないはずなのに……熱くとろけるヴァギナをかき回される快感の方が先に立って、全ての疑問を、懸念を圧倒する。

気持ち良い。
気持ち良いっ!
キ持ちいイィイぃいイイイッ!!

身体が、自然と動き出す。背筋を反らせ、腰をつきだして、もっと奥まで届くように、もっと気持ちよくなれるように、精いっぱいのいやらしい体位を形作っていく。

――ああ、凄く気持ち良い、嬉しい、大好き――
――まったく、どこに行ってたんだよ――
――心配させてごめんね、ただいま――
――ああ、おかえり――

彼女自身の心情と無関係に、頭の中で会話が響く。
いや、それを「会話」と言ってしまうのには語弊があったかもしれない。
それはもっとずっとシンプルな、魂と魂が響きあうようなコミュニケーション。
仲むつまじい恋人や家族だけが交わす、あたたかく慈愛に満ちた心のやりとり。

ふと、先日しとめたアオアシラから毛皮をはいだ時のことを思い出す。
あれは確か、まだ若い雌だった。
とどめをさした後でもかっと見開いた目がじっとこちらを見つめ続けているような気がして、しばらく気分が晴れなかったっけ。

あの牙獣が、もしもつがいだったとしたら。
そいつを愛する雄がいたとしたら。再会を願う祈りと虐殺者への恨みが、死体に、素材に、装備に宿ったとしたら。
モンスターの肉体を素材に武器や防具を作るように、人間の肉体を黄泉の国から魂を呼び戻す依り代に作り替えたのだとしたら。
とぎれとぎれの思考の中で、彼女はその答えに到達する。

自分の身体は今、アオアシラになろうとしている。

asira2.jpg

あの雌熊が暮らした森で、そいつの毛皮と爪につつまれて、そいつの愛した雄に貫かれながら、そいつと一体になろうとしている。

「グゥアアッ、ウガァッ!」

冗談じゃない、と叫ぼうと開いた口から、言葉とは程遠い唸り声がほとばしる。

「ウォオウ? ゴアッ!? ガウウゥッ!!」

どれほど頑張っても、それは獣の咆哮にしかならない。
いつの間にか毛皮にすっかり覆われた喉が、大きく前に突き出したマズルが、発声のメカニズムを根本から作り替えてしまっているのだ。

「ッグ、ッグ、ッグゥウッ……」

自分の声の中に、何ともいえない甘やかな響きが含まれているのに気付いて、彼女は愕然とする。
たった今、自分は言葉を紡ごうとする試行錯誤をしていたはず。
それがいつの間にか、あさましい雌熊のあえぎ声にすり替わってしまっているのだ。

当然のように後背位で続けられているシンプルな往復運動は、確実に彼女を絶頂に誘いつつあった。
全身がいっそう熱を帯びて、肌が沸騰するような感覚。
残されていたわずかな人肌がすべて青黒い剛毛に浸食されて、分厚く鈍重な毛皮へと変化していく。

吐き気がするほど嫌なのに。
悲鳴が止まらないほど痛いのに。
なのに、魂が震えるほど気持ち良い。

背後のアオアシラが卑猥な動きをさらに加速させ、彼女の意識がホワイトアウトしていく最後の瞬間、視界のすみに、さっき落としたモドリ玉が転がっているのが見えた。
反射的にそれに伸ばそうとした「手」が、とっくにもう「手」ではなく「前足」と呼ぶべきものに変化を終えているのを見て、彼女は悟る。

もう、遅い。
何もかも、もう遅い。

こんな姿でベースキャンプに、村に帰ったとして、いったい誰が彼女を彼女だと、人間だと認めてくれる?
悲鳴を上げて逃げていくか、あるいは勇敢な者は武器を手に襲いかかってくるだろう。
今の彼女だったら、あるいは勝てるかもしれない。
丸太のような剛腕を振るえば人間の骨なんか簡単に折れてしまうだろうし、鋭い牙と爪があればちょっとやそっとの武装なんて裸同然だ。

そう。
確かに彼女は強くなった。
もう、未熟でひ弱な新人なんかじゃない。
れっきとした――モンスターに、なってしまったのだ。
ハンターじゃなく、人間じゃなく……ああもしかしたら「女」ですらないかもしれない、野生の「雌」熊。
勝ったところで、何になる?
守るはずだった人たちを傷つけ、恐れと憎しみのまなざしを浴びて、それでどうする?

空しいだけだ。

帰れない。
モドリ玉で戻る場所なんて、もうどこにもない。
だってあたしは、もう――。

彼女はいつしか、涙を流していた。
自分がもはや、ただのケダモノでしかないことをまざまざと思い知らされて、彼女の尊厳が音を立てて崩れていく。

「ウグ、ア、グ、ア、ゥ……」

心にぽっかり開いた暗い穴へ、はちきれそうな快感がすさまじい勢いでなだれ込んでくる。
天に向かって、彼女は吠えた。
自分の身体と魂にまとわりつき、歓喜とともに一体化していく雌熊の思念に向かって、全力で叫ぶ。

許して――助けて――お願い、元に、戻して――!!

その日、ユクモ村の住人は、森の奥から響いてきたアオアシラの咆哮を耳にしている。
それだけならさほど珍しくもないその声を聞きながら、村長はしかし、得体の知れない胸騒ぎを感じていた。
おろしたてのアシラ装備に身を包み、勇んでクエストに出かけていった若い女性ハンター。
まだあどけなさの残るその笑顔が一瞬、脳裏をかすめて、そして消える。

「まさか……」

なぜだか、彼女が二度と帰ってこないないような――そんな気がした。
村長は静かに目を瞑り、確信にも近いその直感が外れてくれることを祈る。
すべては杞憂で、彼女が無事でいるように。
その日駄目なら、翌日も。
そのまた翌日も――。

だが、何ヶ月待ってもその祈りが天に届くことは、ついになかったという。

おしまい。

   ×   ×   ×

そんなこんなで絶賛中断中の狩りですが、モンスターのデザインはかなり素敵ですよね。
サイズも大きすぎず小さすぎず、適度なゴツさがいい感じ。
ウルクススとか、機会があればまた扱ってみたいですね。

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コメント

  1. 現在樂識 | URL | -

    Re: もりのくまさん:後編

    ども、お久しぶりです。

    モンハンの装備からの浸食はネタとしてはいいですよねw

    ガンランスからの浸食で、右腕が頭になったり、

    ボルボロスの泥を喰らってそのまま肥満化泥人形化したり、

    水中で魚化したり……

    ガンキン亜種の悪臭攻撃から……とか、

    モンハンしているといろいろと湧いてきますよねw

  2. | URL | -

    Re: もりのくまさん:後編

    そういえば2ndGのボレアス装備で、
    装備してると意識が飲み込まれるような
    一体化するような事が
    書かれたやつがありましたね。

    もちろん妄想しましたとも!

  3. greenback | URL | 1joVCph6

    Re: もりのくまさん:後編

    >現在樂識さん
    どもどもご無沙汰してます。
    肥満泥人形かあ。
    動きが鈍くなっちゃうのをゲーム上で味わってるだけに、あれが永遠に身体と一体化しちゃったらと思うと美味しいかも。
    妄想力のバリエーションはさすがというか、とても敵いませんです。

    >05月16日にコメント下さった方
    ありがとうございます。
    たしかどこかのスレで話題に出てましたよね。
    当時は未プレイだったのでいまいち刺さらなかったんですが、苦手なアクションに手を出してみた甲斐はあったかなあと思ってます。
    個人的には「意識」は残ってるのが好みなんですけどねw

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