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アプリの戦士☆アイポン&ロイド:前編

2012年02月23日 01:10

新しいプリキュアの放送がスタートしてはや数週間。
世の中にはウルフルンの可愛さやピースのあざとさなんかに
心を躍らせている方も少なくないのでしょうが、
greenbackは東京MXで再放送してた
「Yes!プリキュア5」が終わった後に始まったのが
「プリキュア5GoGo!」じゃなくて「妖怪人間ベム」だったことに
愕然としております。
調べてみたらもうすでにたってたんですな。

って、順番フリーダムすぎるぜMXさん。

そんなこんなで今回の更新はTS解体新書「変身モノ祭り」に
投稿した「アプリの戦士☆アイポン&ロイド」の再録になります。

一応TS(性転換)ものではありますが、
女→男だけで、男→女の要素は
一切ないことをご留意頂けると幸いです。

   ×   ×   ×

『目標を補足』
「よーし、マジカルアプリ"GPSボム"をスタンバイ!」
『……レディ』
「んじゃカウントいくよー、3、2、1、ファイア!」

aipon2pre.jpg
天から白く尾を引いてピンク色のミサイルが飛来し、
大音響とともに炸裂します。
怪人「ミスターフェロモン」は直撃をくらって、
あえなく倒されてしまいました。

小太りで色白で挙動不審で、
剛毛で油っぽくて汗臭くて……ぱっと見たところ、
その姿はひと昔前のいわゆる「キモオタ」のイメージそのもの。
ネーミングもかなりアレな上に
ちっとも外見と一致していないような気がしますが、
そんなことで油断してはなりません。
彼はれっきとした悪の手先。
邪悪な能力で女子大生をかどわかしていた
誘拐事件の首謀者だったのです。

「ふふん、まいったかあ」

黒こげになって倒れているミスターフェロモンの
背中を踏みつけたのは、
なんだか奇抜なコスチュームに身を包んだ小さな女の子でした。
たいそうなドヤ顔をしていますが、
それすらも可愛く見えてしまうのは
美少女の特権といったところでしょうか。

「おのれアプリ戦士め……
だが、この俺を倒したこと、きっと後悔することになるぞ……」
「負け惜しみはかっこわるいよ、おじさん」

そう、この少女こそがこのお話の主人公。
幕本あいという名前で緑背付属中学校に通うごく普通の女の子……
だったのですが、ある日を境に
魔法のスマートフォンを操るアプリ戦士・アイポンとして
怪人たちと戦うことになったのでした。
そして、変身ヒロインにつきものなのが小さなパートナーの存在。

『後悔? どういうことだロイド』

知的な合成声とともにスマートフォンのディスプレイから
3Dホログラムのキャラクターが飛び出します。
彼の名はロイド君。
あいちゃんの中に眠る変身ヒロインの素質を見出した張本人です。
ちょっと口調は妙ですが、
それはまあこういった不思議生物のお約束。
地球よりもはるかに科学の進んだ異世界「アプリヘブン」に
住んでいて、魔法のスマートフォンを通じていつも的確な
アドバイスをしてくれる、頼りになる相棒なのでした。

「ゆ……誘拐した女には、
特殊なフェロモンを使ったマインドコントロールを施してある。
解除できるのはこの俺だけだ」
「なんですって?」
「その俺を、お前は倒してしまった。気の毒になあ。あの女は
これからの一生を、洗脳状態のまま生きていくってわけだ。
ふはははは……は……は……」

とんでもない告白をしながら、
ミスターフェロモンの身体からまばゆい光が放たれます。
あれよあれよという間にその身体は光の中に溶けていき、
やがて笑い声とともにすっかり消滅してしまいました。

「ロイド君、どうしよう?」
『ちょっと厄介なのは確かだけど、
まあだいたい予想の範疇だロイド』
「ほんとに?」
『嘘はつかなイド。とりあえず、いつものアレを』
「あ、うん」

ミスターフェロモンのいた場所をよく見ると、
地面に小さな二次元バーコードが刻まれていました。
それは倒された怪人たちが後に残す、ほんのわずかな痕跡。
魔法のスマートフォンでスキャンすることで、
ロイド君は怪人のデータを全て解析できてしまうのです。

『ふむ、ふむ……うん、ハッタリじゃなさそうだロイド。
あいつの出すフェロモンを吸ったが最後、あのブ男が
とびきりのイケメンに見えてきて、
身も心も尽くすようになってしまうみたいだロイド』
「うわあ、嫌な能力だなあ」
『でも、対策がないわけじゃなイド』
「ほんとに? 凄いねロイド君」
『ただ……』
「ただ?」
『……』

ロイド君は黙ったまま、難しい顔で何か考えていました。
やがて、何かを決心したように口を開きます。

『あいちゃん、マジカルアプリを起動しロイド』
「え?」
『できればこれは使いたくなかったけど……
やむをえなイド。ホーム画面から"ニューアプリ"を選択!』
「う、うん」

いつになく険しい表情を浮かべるロイド君に圧倒されて、
あいちゃんは何も聞くことができません。
とにかく言われた通りに魔法のスマートフォンを操作します。

『紫色に光っているアイコンが現れたら、
そこをタッチするんだロイド!
新アプリ"ファントムコピー"をダウンロード&インストール!
セレクト、怪人ナンバー13・ミスターフェロモン!』

ロイド君の声とともに、液晶画面から光が放たれます。
光線はあっと言う間に大きなリボンになって、
あいちゃんの体をくるくると包み込んでしまいました。
それは、あいちゃんがいつもアイポンに変身するのと
ほとんど同じプロセス。
虹色の空間に光と音楽が溢れ、体中が粟立つような感覚とともに
服がどこかに消え去って、変身が始まります。
ぽん、ぽん、と軽快な音とともに、普段ならカラフルで
可愛いコスチュームに包まれていくのですが……

「え?」

かわりに現れたのは、ぶかぶかのポロシャツに
洗いざらしたジーンズ、
聞いたこともないメーカーのスニーカーと、
くたびれたウエストポーチ……そして、
なぜかオープンフィンガーグローブ。
そう、たった今やっつけたミスターフェロモンの
装備していたものばかりなのです。

「なにこれ? いったいどうなって……」
『まだ終わってなイド』
「え、何が……あ、あぁああ!」

身長と肩幅がじわりと延びて、それ以上に体重が増して。
あきらかにオーバーサイズだった服に合わせるように、
みるみる身体が作り替えられていきます。
同時に全身から油っぽい汗がにじんで、
すえたような体臭が漂い出しました。

「ひぃっ……いっ!?」

悲鳴を上げようしたあいちゃんは、その声質までもが
低く太く変わっていくのに気づいて、思わず口を押さえます。
その手に触れる頬には、じょりじょりした髭の感触。
わずかに膨らみかけていた胸は胴回りの贅肉の中に溶けて、
代わりにたぷんとお腹がせり出します。
変身が終わったとき、
そこにはミスターフェロモンそのものの姿が残されていました。
半泣きになっている不格好なおじさんの中に、
さっきまでの美少女の面影はどこにもありません。

「なんなの……どうしてこんな……こんな姿に……」
『それが新アプリ"ファントムコピー"の能力だロイド。
倒した怪人の姿に変身することができるんだロイド』
「な、なんでそんなことしなきゃいけないのよ!?」
『気持ちは分かるけど、仕方ないんだロイド』

ミスターフェロモンの強力な洗脳術を解く、
たったひとつの方法。
それは彼自身が被害者にキスをして、
「お別れだぜ、ベイビー」と囁くこと……なのだそうです。

「ベイビーって……なにその寒いセンス」
『そもそもあいつは、もてない男たちのもやもやが
集まってできた怪人なんだロイド。
だから見た目もアレだし、センスが良いわけないんだロイド』
「なるほど」
『とにかくこのままだと、誘拐された人は
ずっとミスターフェロモンに心酔したまま、
帰りを待ち続けることになってしまうんだロイド。
だからこうしてあいちゃんが、あいつになりすまして
術を解いてあげるしかないんだロイド』

あいちゃんは深くため息をつきました。
ロイド君がここまできっぱりと断言するからには、
本当に他に方法がないのでしょう。

「……ちゃんと元に戻れるんだよね?」
『もちろんだロイド。
もう一度アプリを立ち上げて、
コピー解除を選択すれば一瞬だロイド』
「分かったよ。仕方ない、とっとと済ませちゃおう」
『その意気だロイド!』

   ×   ×   ×

ロイド君の解析によって、ミスターフェロモンの
アジトの位置はすぐに判明しました。
被害者の女子大生、飯田みそらさんは
そこに捕らわれているはずです。
さっそく現場に向かったあいちゃんでしたが、
まだまだ厳しい9月の残暑は、ついさっき肥満体に
なってしまったばかりの彼女にはかなりの強敵でした。
すぐに息のあがる肉体に鞭打って、吹き出す汗を拭いながら
さまよい歩くこと数時間。
なんとか目的地に到達した時には、
日はすっかり傾いていました。

あたりは閑静な住宅街。
スマートフォンのGPSが示す場所を目前にして、
あいちゃんは首をかしげます。

「これの、どこがアジトなの? 
なんか普通のアパートみたいだけど」
『アジトってのは本来そういうものだロイド。
赤軍とかもこういうなんでもないアパートに
潜伏したりしてたんだロイド』
「セキグンて何?」
『……なんでもなイド。さすがゆとり』
「ロイド君ていくつなの?」
『うるさイド。ほっといて欲しいイド』

ふたりがどうでもいいことでもめていると、
目の前のアパートの一室のドアがおもむろに開きました。
あいちゃんが思わずそちらに目をやるのとほぼ同時に、
部屋の中から出てきた人もまたこちらに顔を向けます。
ふたりの視線がぶつかりあった次の瞬間、
相手は凄い勢いでこちらに飛びかかってきました。

「お帰りなさいませ、ご主人様!」

ガードが遅れたのは、ミスターフェロモンの肉体に
慣れていなかったせいだけではないでしょう。
凄い勢いで抱きついてきたその女性の格好を見て、
あいちゃんは呆気にとられてしまったのです。
やたらにフリルのついたメイド服に、
水色のネコ耳としっぽを装備したその姿。
かわいいと言えばかわいいのかもしれませんが、
ごく一般的な日本の住宅街にあってはかなり……
いえ、非常に浮いていました。

「ああ良かった、ご無事で何よりです!
連絡がないもので、みそらは心配してたんですよ」
「み、みそらって……まさか」
『ああ、どうやらこの人が例の女子大生、
飯田みそらさんのようだロイド。
なるほど、ここまで完全に洗脳できてれば、
監禁なんてする必要ないんだロイド』
「感心してる場合じゃないでしょ」

ひそひそロイド君と話しながらふとみそらさんに目をやれば、
そこには満面の笑顔。こころなしか感涙すら浮かべている様子です。
それはまさに「恋する乙女」を絵に描いたようでした。
さらさらのロングヘアとチャーミングな眼鏡、
ぷっくりした唇が印象的な整った顔立ち……
どこをとってもむさ苦しさの塊のようなミスターフェロモンとは
つりあいがとれないように思えるのですが、
これも全てマインドコントロールのなせるわざなのでしょう。
喜々として「ご主人様」に化けたあいちゃんを部屋の中に招き入れ、
かいがいしく夕食の支度を始めました。

「ご主人様の大好きな、缶詰のミカンをいっぱい乗せたおそうめん。
いつ帰ってきても召し上がって頂けるように、
お出汁をとってお待ちしてたんですのよ」

冷凍のショウガをすりおろしながら、
みそらさんは鼻歌でも歌い出しそうに上機嫌です。

『とりあえず疑っている様子はなイド。こうなればむしろ好都合だロイド』
「そ、そうだよね」

ロイド君に促され、あいちゃんは静かに深呼吸をしました。
ひとつ咳払いをして立ち上がり、
キッチンに立つみそらさんの背中に声をかけます。

「みそらさん」
「やめてくださいご主人様、そんな他人行儀な。
いつものように"みそら"と呼び捨てていただけませんの?」
「あ、うん。み……みそら?」
「はい、ご主人様!」
「あの……ええと……」

気恥ずかしいといえばこんなに気恥ずかしいことはないのですが、
こんなことでひるんでいる場合ではありません。
まずはキス。そして「お別れだぜ、ベイビー」。
その気になれば簡単、簡単。
あいちゃんは自分にそう言い聞かせながら、両手でみそらさんの
肩をつかみ、ゆっくりと抱き寄せます。
目の前に迫った彼女の髪からは、
フローラル系のシャンプーの匂いがふわりと漂ってきました。
心臓がどきどきしているのが分かります。
耳まで真っ赤になって、また一段と油汗が噴き出してきました。

「キ……キ……キス、しても、いいかな」
「え?」

みそらさんは不思議そうな表情を浮かべて聞き返します。
思ってもみないリアクションに、
あいちゃんはすっかりテンパってしまいました。

「あ、いやその、違くて、
別にあたしは変なこと考えてるわけじゃな……」
「嬉しい」
「へ?」
「いつもみたいに黙ってしてくださればいいのに……
でも、嬉しいですわご主人様」

ふわりと微笑んで、みそらさんが目を閉じます。
少し顎を上げるようにして、
はっきりキスを待つ体勢を形作りました。
その、あまりにけなげな態度にあいちゃんは同情を禁じ得ません。

かわいそうに、こんなにかわいいのに、こんなキモい怪人に
いいようにされちゃって……いま、解放してあげるからね。
もうちょっとだけ我慢してね……

あいちゃんもぎゅっと目を閉じて、なるべく静かに、
なるべく軽く、口付けを交わします。
ちゅっと小さな音と共にグミキャンディのような
ぷるんとした感触が唇に残って、
そのあまりの柔らかさと瑞々しさに、
あいちゃんは一瞬、心を奪われてしまいました。
その、次の瞬間。

「!」

みそらさんの舌がぬるりとあいちゃんの唇をこじ開けて、
口の中へと侵入してきたのです。
あいちゃんは何が起こったのか分からないまま、
思わず目を開きました。
文字通り目の前、
2センチかそこらにみそらさんの顔が見えます。
熱に浮かされたような瞳と紅潮した頬、そして荒い息づかい。
乱れた髪の毛からは香水と汗が調和した、
独特の匂いが漂ってきます。
一心不乱に舌を絡め、唾液をすすり、時おり「んっ」「んっ」と
小さな声を漏らしながらあいちゃんの身体を
きつくきつく抱きしめてきます。
早く合い言葉を言わなきゃと思っても、こうも執拗に
唇をねぶられてしまってはどうすることもできません。
下手なことをすれば、みそらさんの舌を
傷つけてしまう可能性だってあるのです。
とにかく、いちど引き離さないと……そう思った次の瞬間、
あいちゃんの背筋に電撃のようなものが走りました。

   ×   ×   ×

後編に続きます。
既読の方は知ってるでしょうが、
どんどんひどいことになるので、
ここまで読んでげんなりした人はやめといた方がいいかも。

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