2ntブログ

スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『レクイエム』 後編

2008年07月14日 01:13

というわけで後編。
考えてみたらお祝いとは思えないようなタイトルですね。
もろもろ申し訳ない。

あ、前編未読の方は、そちらから読んでいただけると幸いです。
   ×   ×   ×

あいつの手を掴んで、必死で懇願する。

「で、出ようよ! やだここ! 私、これ以上ここにいたら――」
「何言ってんだよ、まだ何にも見てねえだろ」
「だって、あの白い犬みたいな――」
「はぁ? 犬? 何言ってんだよお前」
「……え?」

見えて、ないのか。
私にしか見えない、幻なのか?
ああ“それ”が幻であれば、どんなにいいだろう。
――でも、違う。
いつの間にか、“それ”は目の前まで迫っている。
金色に光る目を、だらりとたれた舌を、鋭い牙の一本一本を、
はっきりと感じる。
やめて。近寄らないで。お願いだから――助けて。

“さあ、始めようか”

ずりゅん、とそいつは音を立てて、
私の浴衣の裾にもぐりこんだ。
質量も温度もないそれが、
脛から太股を舐めるように滑っていくのをはっきり感じる。
思わず腰を浮かせ、足の付け根を押さえつける。
だめだ――ああ――だめだっ!!
私の稚拙な抵抗を嘲笑うかのように、なめらかに侵食は進んで。
そして。

「あ」

私は、呆れるほど甘い声を漏らしていた。
とろとろの蜜が股間に溢れかえって、
浴衣に見苦しいしみを作り出す。
白く。熱く。荒々しく。優しく。
めまぐるしく表情を変えるそいつの先端が――入ってくる。
私の身体の一番柔らかい肉と肉とを遠慮がちに押し広げ、
ゆっくりと滑り込んでくるその感覚を、どうしようもなく知覚する。
この上なくおぞましくて――そして、気持ちいい。
ずるりずるりと次第に大胆さを増しながら、侵入が続いてゆく。
恐怖の中でその快感の虜になっていく自分が
ひどく浅ましいものに思えて――でも抵抗する手段は
何ひとつ考え付かなくて――頭の中が、真っ白く塗りつぶされる。
まるでその絵の具があふれ出したかのように、純白の獣毛が、
下腹部からゆっくりと身体を覆っていく。

「ひッ!?」

右手に目をやれば、ぶよぶよとした肉球が発達をはじめている。
短い指。固く尖り始める爪。
もはや“手”と呼ぶより――前脚。

「ひ、ひゃん? ひぎゃうッ!?」

タスケテ、という言葉を形作るはずだった私の声にまで、
獣の気配が色濃く映し出されていることに気付いて、私は凍りついた。
大粒の涙が、みるみる溢れ出してくる。

mr.ken


そんな私を見る、あいつの目。
――化け物を見る、目だ。
そうか、今日からは私が化け物か。
彼女の後をついで、この見世物小屋で身体を晒す、女。
いつか“よりふさわしいヨリシロ”とやらが現れる日まで、
人々の好奇の目に晒されて――
「いつか」?
そんな日が、いつか本当に来るのだろうか。
なおも変形を続ける身体が、がたがたと音を立てて震えだす。
いやだ。
いやだいやだいやだ。
そんなの――いやだあああッ!
口をついてほとばしった絶叫、
それがもはやの遠吠え以外の何物でもないことを悟って、
ぷつんと私の意識は途切れた。

          ☆

「はい起きて。ダメだよ、シフト中に寝てちゃ」

あれ? ここは……私のバイト先の――コンビニ?
慌てて身体を、顔を触る。
しなやかな肌が、指先に触れる。
ほ、と息をつく。

「なに、変な夢でも見た?」

店長が苦笑している。
そうか、私は夢を見ていたのか。
祭りも浴衣も、見世物小屋も化け物も、全部――夢か。

「うーん、顔色悪いな……外で風にあたってきなよ。
あ、ついでにゴミもよろしくね」

気づかいなんだかよく分からない店長の指示。
でも、確かにちょっとありがたかった。
深夜の風をあびて、汗がひいていくのが分かった。
でも――なんだろう。
それでもなお、晴れない心のもやもやは。

「よいしょ」

気を取り直して、ゴミの袋を手に持つ。
うん、いつもの景色。
明るく光る月。
人通りのない駐車場。
野良犬の遠吠え――あれ?
今日はずいぶん近い、ような――

がし、と腕を掴まれる。
異様な握力と、濃い獣の匂い。
月光に照らし出された2体の大きな影が、私を取り囲んでいた。
あきらかに人でない、そのシルエット。
股間にそびえる、尋常でないサイズの肉の棒。

「あ……あ」

彼らの鋭い牙と爪が『逃げる』という選択肢を
私の頭からきれいに拭いさる。
ぺたん、と腰を抜かした私を、彼らは粛々と持ち上げて
――当然のように輪姦を開始した。
粛々と、どこか儀式めいたその行為。
嫌悪感の中から立ち昇ってくる、薄暗い歓び。
前から後ろから、呪わしい体液を飲み込みながら、
少しずつ作り変えられていく身体を、はっきり感じる。
体毛がみるみる濃くなり、尾骨がゆっくりと成長をはじめ、
両耳がぴんと立ち上がる。
襲撃者の性器になぶられながら、舌が長く伸びていく。
こんな屈辱……こんな悪夢……こんな、こんなッ!!
あ。ああ。意識が――

          ☆

爽やかな風が、私の顔をなでた。
牧歌的な風景の中、ちいさな人形を抱いた少女が、
こちらを心配そうに見ている。

「うずくまって、お姉ちゃん、オナカ痛いの?」

わ……私は何回、獣に堕とされるんだろう。
10回? 100回? 1000回?
あらゆる手段で。
あらゆるシチュエーションで。
はてしない変身のスパイラル。
1万回? 10万回? 100万回人の目にさらされて
――なお、終わりは見えない。
いま分かった、心を支配するこの重苦しい感情の名前。
私は――ずっと、憂鬱だったのだ。

終わりのないのが『終わり』。
それが『ティー・エフ・デイズ』

次はどこから――いつ「仕掛けて」くるんだろう。
私は。
私はッ!

「私のそばに、近寄るなああ――――ッ!!!」

   ×   ×   ×

パロならパロ、エロならエロと割り切るべきでしたね。
どうにも中途半端になっちゃった感がいなめません……orz
ほんと、すいませんでした。
この通りのふつつかものですが、
今後ともよろしくお付き合いいただければ幸いです。

改めまして、このたびはまことにおめでとうございます。
そして、ありがとうございました!

ジョジョの奇妙な冒険 (63) (ジャンプ・コミックス)ジョジョの奇妙な冒険 (63) (ジャンプ・コミックス)
(1999/05)
荒木 飛呂彦

商品詳細を見る

コメント

  1. ゴゴT。 | URL | Xj9pzKFI

    Re: 『レクイエム』 後編

    自分は更新できてねえのに、他の人がどんどん面白い作品を出してるのを見る気分ってのは、たとえると…

    獣化完了前に解毒剤を使わないと戻れなくなる人が…
    完全獣化寸前にやっと解毒剤を使おうとした瞬間!  

    グニイイッ  ……とさらに手が肉球やヒヅメになって
    薬瓶を開けられなくなる気分に似てるってえのは…どうかな?

    お久しぶりです、最近はコメントはおろか自ブログの更新すら滞っていてすみません。
    久しぶりにエロス絡みの獣化で、スケベな私としては萌える気持ちを抑えられなかったのですが
    オチで噴かせてもらいましたw
    まあどうしてもバッドエンドや陰鬱なオチになりがちなTF話においては、たまにはこんなのも読後感がそれほど重くなくていいのかも?

  2. 憂鬱狼 | URL | eYj5zAx6

    Re: 『レクイエム』 後編

    どうもSSを描いてくれてありがとうございます^^
    何気に過去に自分が描いた絵もオマージュされてて驚きましたw実にエロいです。
    うちの看板犬の性格が思った以上に紳士w
    個人的にはアホっぽい感じ(アザゼルさん風)で描いていたのでそのギャップがw
    最後にサイト名が入るところは少し恥ずかしいw
    ごちそうさまでした^^

  3. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『レクイエム』 後編

    温かいコメント、本当にありがとうございます。
    すごく励みになります。
    だってのにレス遅れてちゃダメですよね。
    申し訳ありませんです。

    >ゴゴT。さん
    これは良いじょうたろ
    というか素敵すぎますね、そのシチュエーション。
    バッドエンドといえばこれ以上ないバッドエンドなんですが、
    もろもろ楽しんでいただけたのなら幸いです。

    あと、某所のデブータTF、
    ゲームは未プレイなんですが堪能させていただきました。
    ごちそうさまでした。


    >憂鬱狼さん
    いやなんかほんとすいませんです。
    看板犬さん、キャラ違っちゃってますよね、
    返す言葉もないですm(_ _)m

    コンビニの狼TFは大好きだったので、
    ちょっと拝借しちゃいました。
    嫌がってるはずなのに、
    なんかすごい舌づかいしてるっぽいんですよね。
    あの取説っぽい文章も素敵だったと記憶してます。

    いたらぬ所ばかりですが、今後とも
    よろしくお付き合い願えれば幸いです。

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://greenback.blog.2nt.com/tb.php/32-e98b87dc
この記事へのトラックバック