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『涙目王女』 その2

2008年10月13日 10:18

はじめから読むひとは→1話へ

   ×   ×   ×

この時代、国々を渡り歩いて珍しい商品を収集し、
遠く離れた国に持ち込んで売り歩くことを
生業としている人々がいました。
「牛車商人」と呼ばれる彼らが持ち込む異国の品々は
魔物の蠢く山野を抜けるすべを持たない多くの人々にとって
「外国」そのものでした。
それはお城にすむやんごとなき人々にとっても同じこと。
営業許可を求めて来訪する牛車商人が
挨拶代わりに貴重な品物を献上することが半ば慣習化したのも、
この国の王家がいかに好奇心旺盛であったかを
示していると言えましょう。
もちろん、リヴェラ姫も例外ではありませんでした。

姫が謁見の間に入っていくと、
旅装束のままの牛車商人が
品物の数々を披露しているところでした。

色とりどりの香辛料。
獰猛な魔物の角を使った杯。
羽のように軽い、淡く光る美しい布。
くるくると忙しく動きまわる、服を着た小さな猿。
どの品も目新しく、
異国情緒をまとって魅力的な輝きをはなっています。

「わあ……」

思わず、ため息とも歓声ともつかぬ声を上げた姫に気づいて、
その小柄な牛車商人はうやうやしく一礼をしました。

「これはこれはリヴェラ姫、噂にたがわず美しい。
お目にかかれて幸いです」
「こちらこそ……あら珍しい、女の人なの?」

幾重にも重ねた旅人の服で身体のラインを隠し、
ぶ厚いターバンで頭部の大半を覆っていたこともあり、
その商人の性別は一目では判断できかねました。
それ以前に、危険で過酷な外の世界を旅して回るという職業柄、
今までお城にやってきた者たちは
圧倒的に男性が多かったこともあり、
「女の牛車商人」という発想自体が姫の中にはありません。
しかし、その商人の、少し異国の訛りがまじる透明な声は、
まぎれもなく女性のものだったのです。

「申し遅れました、フリーダと申します」
「リヴェラです。
あなた達の品々にはいつも楽しませてもらってるわ」
「過分なお言葉、ありがとうございます。
つまらないものばかりではございますが、
気に入った物などありましたらどうぞお納めください」
「ありがとう。でも品物が多過ぎて…なんだか目が回りそうね」

そう言って、リヴェラ姫はにっこり微笑んでみせました。

   ×   ×   ×

3話へ

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コメント

  1. 草餅 | URL | f/f4rIMQ

    初めまして!

    ロムらせて頂いてましたが…思い切ってカキコです`・ω・´
    いつも楽しく拝見しています!

    フリーダさんって…『反芻記』のおねいさんですかっ!
    今回も素敵なTF、期待してますよ~(笑

    更新、いつも楽しみにしております!
    頑張って下さいっ`・ω・´

  2. 現在楽識 | URL | OOy8wYYM

    Re: 『涙目王女』 その2

    どこか近いにおいを感じる『フリーダ』が面白そうですね~~メッセンジャーを利用してないのですか~~残念です

    ドコまでカオスな展開になるか楽しみです……

    どの方向性で攻めていくのか……そしてどんな方向に収束していくのやら……

    お姫様が緑色って言うのが少し気になりますねw

  3. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『涙目王女』 その2

    >草餅さん
    あ、もうバレたw
    仰る通り、あの人のことです。

    ROMでも何でも読んでくださるだけでありがたいことなんですが、
    コメントいただけるとほんと励みになります。
    これからもよろしくお願いします。

    >現在楽識さん
    カオスといえばけっこうカオスになるかもしれませんねw
    方向性に関しては、まあほぼ
    いつも通りだと思っていただければいいかと。

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