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はじめてのバター犬 その3

2010年08月09日 00:46

ちなみにclownさんのアンソロジーに寄稿したお話も、
ついでに言えばこの文章自体もpomeraで下書きしてます。
辞書があんまり賢くないのが玉にキズ
(言ってるそばから「瑕」が出てこない)なんですが、
下書き用と割り切っちゃえば許容範囲かな。
もともとそんなに難しい言葉を使う方じゃないですし。

いや、後悔してないですよ?
ほんとに、自分に言い聞かせてるわけじゃないんだからねっ!

そんなこんなでgreenback初の犬TF話も最終回。
久々に絵も描いたので、併せてどうぞ。

前回までのあらすじ
・犬拾ってきてバター犬させてみた
・悪くないけど、何か身体が変……何この鳴き声?
・いろいろ気になるけど、それどころじゃなく気持ちいいっ!

はじめから読む人は→1話へ

   ×   ×   ×

あれが本当の「絶頂」ってやつなのかなあ。
分かんないけど、今まで経験したことがないような
感覚だったのは確かだったよ。
pome.jpg

「あぉん! う、うぅおぉおんっ! あおぉおぉおおおんっ!!」

ひと声、叫ぶ――っていうか、鳴く?
違うな、吠える。
これだ。
吠えるたびに、前進の骨格とか筋肉とかがめきめき音立てて、
どんどん変わってってさ。
なんか全身が凄い熱くて、
ぎゅうぎゅう押さえつけられるみたいにして
どんどん手足が縮んでいって。
超怖くて。
でも超気持ちよくて。
わけ分かんなくて。

そっから後はもう、放心状態だよね。

あたしが完全にダウンしたのを見て、
ポメラニアンはようやく舐めるのをやめたんだと思う。
で、とことこっとあたしの目の前に来てさ。
「アリガトウ」って言ったの。
そう、人間の言葉でね。
あとはだいたい、っていうかまあここまでもそうだったけど、
あんたが知ってるのと同じパターン。

「よっ」て感じで二本足で立ち上がって、一瞬よろけたけど、
近くのテレビ台んところに掴まったりして。
ちょっとずつ身体が大きくなって、逆に尻尾が縮んでって。
金色のふわふわした体毛がぱらぱら抜けて、
かわりに黒くて長い髪の毛がどんどん伸びてきて。
ようするにまあ、人間になっちゃったんだよね。
正確には「戻った」っていう方が正しかったんだけど、
そん時はまだそんなこと分かんないし。

女だった。
顔はあたしの方がいけてると思うけど、
スタイルはちょっと負けてたかな。
うん、立派なおっぱいだったよ。
手足も長くて、いわゆるモデル体型ってやつ?
なんか嬉しそうに身体中をなでまわして、
それから洗面所の方に歩いていって。
今考えると、あれは鏡を見てたんだろうね。

「あはっ、私の顔! 私の顔だぁ!」って
すごい嬉しそうな声がしてさ。
それからシャワーの音がして、どのくらい経ったかなあ。
ひとんちの風呂を勝手に使ってんじゃねえよとは思ったけど、
まだ体力が抜けっぱなしでさ。
へろへろで全然動けないし、声も出せないの。
そう、今のあんたと同じ状態。

しばらくしたら体中から
ぽたぽたお湯を滴らせながら戻ってきてさ。
あたしのすぐ脇に落ちてるバスタオルを拾い上げて、
ゆっくりじっくり身体拭いて。
そんで、あたしの頭なでながら、そいつは話しはじめたの。

「犬をね、拾ったのよ」って。

そう。たった今、あたしがあんたにしてるのと、
ほとんど変わらない筋書きのお話。
ちょっとしたいたずら心で犬と変なことして、
自分が犬になっちゃう女の物語。

「……何かの呪いなのか、特殊な病気なのか、
詳しいことは私も知らないわ。
でも、とにかく”ルール”ははっきりしてる。
誰でも良いから、人間をひとりイかせたらゴール。
元に戻れる代わりに、その人がまた次の犬になる。
貴女も、人間に戻りたかったらせいぜい頑張ることね」

そう言って、そいつはあたしに手鏡を見せたの。
もう分かるでしょ、その鏡には、あんたが拾ったあの
かわいいかわいいマメシバが
不思議そうな顔して映ってたってわけ。

いやー、無理だと思ったんだけど、意外となんとかなったねえ。
まんまとあんたが拾ってくれて、ほんと助かったよ。
あたしの時と違って、けっこう良いバターだったしね。
あれってデパ地下かなんかのやつ?
すごい美味しかったけど。

そんなわけで、あたしはあんたのおかげで
無事こうして人間に戻れたわけだ。
あんたもなんで自分がこんな目にあってるか、
だいたい理解できたんじゃないかな?

しかし……うーん、これは別にあたしのせいじゃないし、
ただの運っていうか、確率の問題だと思うんだけど……
なんか、ごめんね。
いや、あはは、なんつうかね。
あんたまだ、自分がどんな犬になったか知らないでしょ。
鏡、見てみる?
やめといた方がいいかも知れないけど、
まあ、いずれ分かることだしね。
はいどうぞ。

……お、おーい、大丈夫?
いや、気持ちは分かるよ。
まさか、あんたみたいな可愛らしい娘さんが、
よりによってそんなごっついブルドッグになっちゃうなんてねえ。
その強面を相手に、変な気起こす女がいるとは思えないけど
……あ、いや、だ、大丈夫だよ。
きっと多分、うん、なんとかなるって。
分かんないけどほら、世間は広いし、ね。
……が、頑張ってね。
もし戻れなかったとしても、あたしを恨まないでよね。

それじゃ、そういうことで!
ばいばい!


おしまい。

   ×   ×   ×

なんだかエロ寄りになっちゃったのは、
アンソロ本用に書いてた話の後遺症かなあ。

……そんなこんなでしつこく告知告知。
こういうのが嫌いじゃない方には
おすすめできる作品に仕上がったと思うので、
読んで頂けたら幸いでございます。

もちろん、私以外の作家さんも
素晴らしいお話をひっさげて参戦なさっているので
かっこいい系、カワイイ系、とにかくTFが好きな方なら
きっとお気に入りの作品に出会えるはず!

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コメント

  1. ゴゴT。 | URL | Xj9pzKFI

    Re: はじめてのバター犬 その3

    超が付くほどお久しぶりです。
    長い間、音信不通気味で申し訳有りませんでした。

    「うつせば治る」というか「うつさなければ治らない」なバトンタッチTFですか。
    「変化後の困惑・苦悩や堕ちっぷりを観察するのも良いが、
     変化過程そのものも何度も何度も楽しみたい!」
    などと時には思ったりもするものですが、
    この方式だと連鎖的に延々と続けることもできて良いですねー。
    加害者でもあり被害者でもあり、
    恨みつつ恨まれつつ同情しつつされつつ、
    複雑な精神模様がずっと積み重ねられていくのですね。
    最初にこの呪いを作った人がもし居るならば随分と「いい趣味してる」ものだとw

    サークルでなく一般参加ですが、私も今回のコミケ行かせてもらいます。
    「この作品がエロ寄りなのはアンソロの後遺症」と聞いて
    そのエロさへの期待でテンションも上がろうというものですw
    会場でお会いしたらよろしくお願いしますー。
    ……チキンなので声をかけられず普通にお客に混じって買って帰るだけになる恐れも多分にありますが……
    むしろお忙しい場合はそっちの方が良いですかねw

  2. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: はじめてのバター犬 その3

    >08/10 01:57 拍手コメント下さった方
    あっという間にバレましたねw
    風祭さんのところに置かせて頂いてる「アンカー」とほとんど同じ展開なんですよね、コレ。
    書いてる途中で気付いたんですが、まあ大昔の話だしバレないかなと。
    甘かったですw

    >ゴゴT。さん
    どうもお久しぶりです。ご無事で何よりでしたw

    おっしゃる通り、連鎖型って移す側も仕方なくやってるところがあるので
    被害者と加害者のやりとりが「同病相哀れむ」的な感じになるんですね。
    なんというかノリが黒くなりすぎないのがいいところなのかなと。
    ……なぜか私が書くと最終的には真っ黒になっちゃうんですがw

    そして買いに来て頂けるんですか!
    ありがとうございます。
    コミケ初参加でいきなり売り子なんてできるのかどうか今から恐々としてますが、なるべく主催者さんにご迷惑をかけないように頑張りたいなと。
    心細い思いをしてると思うので、声かけてくださったらほんとに嬉しいです。
    もしあれだったらちっちゃい声でもいいのでw
    本は身内びいきを差っ引いても良くできてると思うので、損はさせませんぜ。

  3. | |

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  4. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: はじめてのバター犬 その3

    >09/09 コメント下さった方
    お返事遅くなってすみません。
    たしかに最近は優しい女の子が理不尽に被害に会う話をやってないですね。
    基本的にリクエストは受けられないのですが、
    機会があれば参考にさせていただきたいと思います。
    ちなみに「あるスパイの~」はいかがでしょうか。
    犬じゃないけど。

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