へんなかがみ : 怠惰くん

「なるほどね。それで？　どうすんの？　もう今月終わるよ？　あんたが自分でやるって決めたんでしょ？」
「それは、そうだけど……」
「あんたは”できない”んじゃなくて”やらない”だけ。ぐちぐち言い訳しても、結局自分からは逃げられないんだよ？」
「そうかも……しれないけど……」
「ね？　やろうよ。今からだってきっと間に合うからさ。頑張ろうよ。元気があれば何でもできるって、偉い人も言ってるし」
「…………ょ」
「え？」
「……………………ょ」
「ごめん聞こえない、何？」
「うるさいんだよ！　あんたに何が分かるんだ？　正しいくて前向きなことばっかり言いやがって。そりゃそうだよ、今からだって頑張ればできるかもしれない。自分で決めたんだからそうした方がいいだろうさ。分かってるよ！でも、分かってたってできない奴だっているんだ。その気持ちを、あんたは分かってない」
「……わ、分か」
「分かってねえんだよ！」
「！」
「いいんだよ無理して嘘つかなくても。今から分からせてやるからさ」
「へ？　分からせてやるって、どういう……あ、あれ？　あ、うぐ、身体が、え？　何、手が、爪が、毛が……やだ嘘、何よこれぇえええっ！？」



「どうだい？　筋肉が極端に少ないその身体、早く動かそうとしたってできないだろ？　いいや違うか。それでも一応、せいいっぱい動いてるつもりなんだよな？　でも、傍からみたらただのグズだ。ノロマだ。一般的な”人間の”価値観から見たらな」
「……み、ィ……？」
「俺だって失礼な話だと思うぜ。あんまりだよな？　ちっとも怠けてるつもりがないのに”ナマケモノ”なんて名前つけられて」
「みっ？　みゃ、ミャぁっ！？」
「頑張ろうとしても頑張れないやつにポジティブな価値観を押しつけるってのは、結局そういうことなんだよ。分かってくれたかな？」
「……ミィ……みぃイイ……」
「あーあ、泣いちゃったよこの珍獣。さあて、なんかすっきりしたから頑張ろうかな。でもまあ明日からでいいか、こいつペットショップに売っぱらわなきゃいけないし」
「ミィイイッ！！」

　　　×　　　×　　　×

やつあたり（・A・）イクナイ！

や、ぶっちゃけこないだ某動物番組でやってたナマケモノが可愛かったんで、描いてみたかっただけだったりして。
あいつら本当に凄いですね。コストパフォーマンス最強。
この省エネ時代にうってつけの生命体だと思いました。

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