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『涙目王女』 その20

2008年12月29日 02:09

Wikiによると、いまの日本の養豚場では輸入穀物が
飼料の中心になってるみたいです。
かつては人糞飼育も普通だったとか。
ななおさんは『西○さくらの受難』でちょっと触れてましたね。

greenbackはそっち方面はあまり強くないので、
せいぜい残飯止まり。
まだまだ甘ちゃんだなあと思ったりもするんですが、
まあ、無理して書くようなもんでもないですしねw

今北さん用あらすじ
・豚にされ、とじこめられて涙目のお姫様。
・空腹に耐えかねていた姫に、大量の残飯を与える魔女。
・食った。くやしいけど旨かった。

最初から読む方は→1話へ

×   ×   ×

もう、理屈もなにもありませんでした。
食べれば食べるほど沸いてくる、
ほとんど官能的なまでの自らの食欲に、
姫は完全に支配されていました。
――手づかみなんて、まだるっこしい。

最後の枷は、いとも簡単に崩れ去りました。

「あはははっ、そうそう、ナイスですリヴェラ姫!
ナイス犬食い!
っていうか……ブタ食い?
あははっ、お似合いです、すごくお似合いですよ!」

そう、もはや蹄と化した不自由な手は、
彼女と美味しい美味しい“ごはん”を隔てる
邪魔者でしかありませんでした。
そう。
手づかみすら煩わしくなった姫にとって、その選択は必然。
ついに両手を床について、
直接残飯の山に頭を突っ込んだのです。

視界すべてを覆いつくす“ごちそう”の数々。
鼻づらで食べものをかきわけ、口いっぱいにほお張る喜び。
フリーダの嘲りの言葉に耳を貸す余裕なんてないほどに、
なんだか、いっそう美味しくなったように思えます。
今の自分の頭部が、そのマズルが、
いかにこういった食事方法に向いているかを実感しながら、
その自己嫌悪までを調味料にして、がつがつ、がつがつ……


結局、姫はその恐るべき量の『食事』を、1時間もたたずに
ひとりで食べおおせてしまいました。
さらにひとまわり膨れたお腹で、
なお名残おしそうに床の汁をなめている彼女は、
姿ばかりでなく仕草まで豚に――オークそっくり。
食欲にのみこまれ、かすみかけていたリヴェラ姫の思考を
残酷な現実にひき戻したのは、フリーダの高笑いでした。

「あははははっ、すごいすごい!
いえ失礼、
まさか全部食べちゃうなんて思わなかったもので。
いや、でも良かった。
こんなにたくさん”食べもの”があまってしまうのは
心が痛んでしょうがなかったんですよ。
心から感謝します、リヴェラ姫。
そうだ、なにかお礼をしなくちゃいけませんよね。
何がいいかな……」

ちらりと姫を見やるその目には、
おそろしく冷たい光が宿っています。

「ああそうだ、こうしましょう」

わざとらしく手をうって、フリーダが懐から取り出したもの――
それは、ちいさなリボンでした。

「ブゴッ……?」
「これ、さしあげます。
いいえ遠慮なんてなさらないで。
私の、感謝のしるしです。
あは、ご自分じゃちょっと難しいかな?
ちょっと待ってくださいね。
こうして、こうして……はい!
ああ良かった、よくお似合いですよ」

フリーダの言葉とは裏腹に、
残飯の汁でしっとりと濡れた姫の乱れ髪に、
その可愛らしいリボンはこの上なく滑稽で、不釣合いでした。
しかし、その言葉に皮肉の影はありません。
魔界のプリンセス・フリーダは、
思いのままに絶望へと堕ちて行ってくれるリヴェラ姫のことを、
いつしか本当に愛しはじめていたのです。
もちろん、生粋のサディストである
フリーダなりの愛し方で、ですが。

「さあ、それじゃ腹ごしらえもすんだことですし、
始めましょうか、ゲームを」
「ゲェ……ブゥ……?
んブっ!?」
「あ、気付きました?」
「アぶっ、ことブぁ、しゃべっ、れっ、ブゥ!」
「ふふふ、そう。
そのリボンにもちょっとだけ魔力があるんです。
これを使った楽しいレクリエーションを
しようかなあというお話なんですけど」
「おねがひッ、もど、もどのカラダ、
戻ブヒてぇ! んブッ!!」
「ふふ、落ち着いてくださいリヴェラ姫。
あんまり興奮すると上手にしゃべれませんよ。
話は最後まで聞いて下さいな。
このゲーム、姫が無事クリアできたなら……
もとの姿に戻してさしあげましょう」

「ブヒッ!?
 ほ……ンゴッ、ほんど、に?」
「私が、姫に嘘を言ったことがありますか?
約束は守る。
これ、魔術を使う者にとって、基本中の基本です」

そう言われればそんな気もしますが、
そうでもないような気もします。
いずれにしても、姫に選択の余地などありませんでした。
少しでも可能性が残されているのなら、
それに賭けるしかありません。

「んブゥ……」
「ご理解いただけたようで何よりです」

フリーダはそう言って、この上なく嬉しそうな笑顔をうかべました。


   ×   ×   ×

21話へ

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コメント

  1. 現在楽識 | URL | -

    Re: 『涙目王女』 その20

    やはり豚食い来たw

    ゲームかぁ……ひづめの手で出来ないことさせられたりするのか期待してますw

    でもちょっとしゃべれるのも哀れでいいですねぇw

  2. 雷鳴 | URL | 8x/lEzVM

    Re: 『涙目王女』 その20

    どうも、久々の書き込みです。

    それにしても、どんどんエグくなって
    いきますね。実に、「涙目」という言葉に忠実です。
    でもやはり獣なんだから、豚らしく豚食いしなきゃ
    獣が廃るってもんですよねw
    王女には可哀想ですが、非常にそそられました。
    それにしてもこのフリーダという女、ノリノリである。(某丸見え風)

  3. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『涙目王女』 その20

    >現在楽識さん
    大正解でした。
    ひねりのない展開ですみませんw
    ちょっとだけしゃべれる描写はゴゴT。さんの影響受けまくり。
    はじめて読んだ時の衝撃はハンパなかったです。

    >雷鳴さん
    書き込みどうもありがとうございます!
    そそられてくださってほんとに嬉しいです。
    ちなみに、ほんとにノリノリなのはここからなので、
    引き続きごゆっくりご観覧くださいw

  4. clown | URL | /BE/v8dU

    Re: 『涙目王女』 その20

    欲求を抑えられなくなる、っていうのはTFの大事な要素ですね。それだけでご飯何杯も行けちゃいます。

    究極のSはやっぱり愛があってこそだと思います。どうでもいいやつに入れ込んでも仕方がないし、Sを追求する手間暇ってやっぱり愛ゆえです。つくづく、フリーダは良いキャラだなぁと思います。

  5. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『涙目王女』 その20

    >clownさん
    レス遅れてすみません。
    もったいないお言葉ありがとうございます。
    今年も愛情いっぱいに姫をいじめて行きたいと思いますw
    みなさんのご飯がすすむようなら至上の歓び。
    どうかよろしくお願いいたします。

  6. ゴゴT。 | URL | Xj9pzKFI

    Re: 『涙目王女』 その20

    やはり豚の特徴と言うとあの鼻・口周りがまず思い浮かぶので、
    その口を活かせる食事シーンってのは豚好きにとってかなりの萌えどころですね!
    食物に押し付けつつひくひく動く鼻とか、開いた口吻から覗く長い舌とか……
    考えただけでうっとりします(変態)

    ケモノにアクセサリー等のワンポイント、というのも
    萌えるフェチシズムだと思います。
    流石は師しょ……と、その呼び名はお嫌でしたか。
    では「マスター」と呼ぶと意味的に「師範」と「御主人様」が両方備わり最強に見える

    ……と思ったら逆に羞恥返されたというか、気恥ずかしいというよりむしろ恐れ多いんですが!?
    鳴き声まじりで喋るやり方は個人的な趣味と、
    あと台詞に頼る癖からやってただけなのですが、参考になったというのなら恐悦至極です。
    海外のTF小説を漁る時も、台詞がoink snort squeal混じりだと個人的には萌え倍増w

  7. greenback | URL | xB9R6Xc2

    Re: 『涙目王女』 その20

    >ゴゴT。さん
    マスター言われたら、なんか場末のバーテンやりながら
    変なカクテルを開発してはニヤニヤしてる自分が浮かびましたw
    なんか、「コークスクリュー・テイル」とかwww

    鳴き声交じりは、海外だと確かに見かけますよね。
    翻訳ソフトを通すとただでさえシュールになりがちな文章が
    輪をかけてカオスになっちゃうのが玉に瑕ですが、
    良いものは良い。

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